ジャーメイン良選手は、2025年、ジュビロ磐田からサンフレッチェ広島にやって来た。これは単なる戦力補強の枠を超え、クラブの哲学と選手の全盛期が交差する劇的な瞬間であったはずだった。しかし……
ジュビロ磐田でJ1得点ランキング3位(19得点)という輝かしい実績を引っ提げてやってきた彼は、加入会見で「心技体、ここから数年が自分の全盛期だと思っている」と断言し、その全てを広島のタイトル獲得に捧げる決意を表明しました。
しかし、華々しい期待とは裏腹に、正直苦しんだ。ポストプレーや前からのアグレッシブな守備では文句なくクラブに貢献したものの、肝心のゴールが少なかったのだ。
でも、今年のジャメは違う。この時点で公式戦3発のゴール。広島にやって来たモンスターが、1年ほど遅れたけど覚醒しようとしているのです。
ジャーメイン選手は今シーズンの目標として、「まずは半年で2桁(10ゴール)」、そして「シーズン20ゴール」という高いハードルを自分に課しています。いや、高くない。第二次覚醒を迎えたジャメにとっては当然軽々とクリアできるハードルでしょう。
昨年、思うように結果が出せなかった悔しさを知っているからこそ、今の爆発には重みがあります。鈴木章斗選手という最高のライバルと競い合い、高め合うその先に、広島のリーグ優勝が見えてくるはず。
「広島のために自分の全てを懸ける」と語るジャーメイン選手の、熱すぎる逆襲劇から目が離せんよね!

ジュビロ磐田で「第一次覚醒」:ストライカーとしての技術的基盤
広島でのジャーメイン良を語る上で、避けて通れないのがジュビロ磐田での3年間における劇的な変容ですよね。プロ入り後、ベガルタ仙台や横浜FCでのキャリアにおいては、類まれなスピードと身体能力を持ちながらも、ストライカーとしての決定力に欠ける「未完の大器」という印象でした。
(下の動画は、セレッソ大阪対サンフレッチェ広島のinside。ジャメのゴールhじゃ15分30秒あたりから)
フィジカル強化と体幹の安定
ジャーメインが磐田で遂げた覚醒の第一の要因は、徹底したフィジカルの再構築にある、と言われています。元日本代表FWの大津祐樹氏は、ジャーメインの飛躍を支えたのは「ベンチプレスをはじめとする筋力トレーニングによる体幹の安定」であると指摘しています。
かつての彼は、スピードに乗った状態でのシュートや、ディフェンダーと接触しながらのプレーで姿勢を乱す場面がままありました。でも、体幹を鍛えたことで、コンタクトプレーにおいても軸がぶれなくなり、シュートの精度が高まりました。
戦術的インテリジェンスとポジショニングの改善
第二の要因は、ポジショニングの意識改革である。
以前のジャーメインは、そのスピードを活かして広大なスペースへ走り出すことを得意としていたのですが、密集地帯での駆け引きには課題を残していたのですが、ディフェンダーとの距離感を意識するようになり、相手の視界から消える動きや、クロスに対してコンマ数秒早く入るポジショニングなど「点が取れる」選手の技術を身に付けたのです。
そしてジャメは、2024年、ジュビロ磐田で、シーズン19ゴールをゲットし、点取り屋として第一次覚醒を果たしたのです。
2026年:サンフレッチェ広島への移籍と「全盛期」への自覚
ジャーメイン良は、自身が30歳というサッカー選手としての円熟期を迎えるタイミングで、あえて激しい競争が予想されるサンフレッチェ広島への移籍を選択しました。
これは単なるステップアップではなく、彼自身の言葉を借りれば「自分の全てを広島のリーグ優勝、タイトル獲得のために捧げる」ための覚悟の決断だったのですね。
広島を選んだ心理的背景
ジャーメイン良にとって広島は、自身のさらなる成長を促すための「プレッシャー」を与えてくれる場所。磐田ではエースとしての地位を確立していたのですが、より高いレベルの選手たちが揃い、競争が激しい広島の環境に身を置くことで、自らを限界まで追い込みたいという欲求が彼を突き動かしたのでしょう。
キャンプ中のインタビューにおいても、「日本を代表する選手たちがたくさんいる中で、自分ももっともっと成長しないといけないと思わされている」と語っています。
しかし、想像以上に点が取れなかった
広島の強化部は、ジャーメインに対して単なるスコアラー以上の役割を期待しているのですが、これがおそらく原因で、広島に移籍してきた2025年はリーグ戦で4ゴールしか決めていない。
ミヒャエル・スキッベ前監督が指揮を取った最後のシーズン、ゴール期待値がリーグナンバーワンの実績をクラブは残しながら、実際は得点を重ねることができず、4位に終わってしまったのは、ジャーメイン良のゴールが思うように伸びなかったことも原因の一つだと思う。
だからといってジャメを責めてるわけじゃないですからね。
昨年はジャメもタスクが複雑で、色々難しかったんだと思う。
そしてバルトシュ・ガウル監督がやって来た
2026年は、ドイツから新しくやってきた若き闘将バルトシュ・ガウルが指揮をとる。
スキッベ全監督から引き継がれた「前線からのインテンシティの高いプレッシング」と「縦に速い攻撃」を引き継ぎながらも「繋ぐサッカー」を実現するために、ジャメは絶対必要なプレーヤーだ。
2026年シーズン序盤の公式戦における得点実績
そして2026年2月に開催された「明治安田J1百年構想リーグ」において、ジャーメイン良はすでに決定的な仕事をこなし始めている。
| 試合日 | 大会名 | 対戦相手 | 出場形態 | 得点 | 備考 |
| 2026/02/06 | 百年構想リーグ 第1節 | V・ファーレン長崎 | 出場 | 0 | チームは3-1で勝利 12 |
| 2026/02/13 | 百年構想リーグ 第2節 | ファジアーノ岡山 | 出場 | 1 | 均衡を破る先制点 12 |
| 2026/02/22 | 百年構想リーグ 第3節 | セレッソ大阪 | 出場 | 1 | ミドルレンジからの鋭い一撃 13 |
このデータが示す通り、ジャーメインは直近の公式戦3試合で2ゴールをマークしている。90分平均得点は1.0を記録しており、ストライカーとして極めて優秀な数値を叩き出している。
統計的パフォーマンス指標
得点数以外の指標においても、ジャーメインの貢献度は高い。チャンスビルディングポイント(CBP)やシュート成功率に注目すると、彼のプレースタイルの特徴がより鮮明になる。
| 指標 | 数値 | チーム内/リーグ内順位 |
| ゴールCBP | 3.20 | リーグ18位 16 |
| シュート成功率 | 40.0% | 非常に高い効率 15 |
| 期待値 (xG) | 0.325 | チーム内2位 17 |
| ドリブルCBP | 0.48 | リーグ39位 16 |
| パスレシーブCBP | 2.17 | リーグ55位 16 |
特筆すべきは、シュート5本に対して2ゴールを挙げているシュート成功率40%という数字である。
これは、昨シーズンの磐田時代に見せた「少ないチャンスを確実に仕留める」という覚醒後の特徴が、広島でも復活してきたことを示唆している。期
待値(xG)が0.325と決して高くはない中で、実際の得点が期待値を上回っていることは、彼が難易度の高いシュートを沈めている、あるいは決定的なポジショニングによってシュートの質を高めていることの証明、と思っていい。
バルトシュ・ガウル体制下の戦術的変容とOHとしての「第2次覚醒」へ
2026年、サンフレッチェ広島にやってきたバルトシュ・ガウル監督は、マインツやRBライプツィヒといったドイツ・サッカーの系譜を継ぐ指導者であり、「インテンシブ(強度的)」で「縦への速さ」を重視するスタイルを志向している。この新体制下で、ジャーメイン良の役割は単なる「ゴール前の番人」から、より多機能なアタッカーへと変容を遂げつつある。
オフェンシブハーフ(OH)へのコンバート
直近のセレッソ大阪戦やファジアーノ岡山戦において、ジャーメインは最前線のセンターフォワードではなく、一つ低い位置の「OH(オフェンシブハーフ)」(まあ最近の言葉で言うと「シャドー」ですね)として起用される場面が見られる。これは、ガウル監督がジャーメインの持つ「機動力」と「プレッシング能力」を、中盤と前線を繋ぐエリアで活用しようとしている意図の表れと考えらえる。
- 守備のスイッチ役:ガウル監督が求める高い位置からのプレスにおいて、ジャーメインのスピードと献身性は最大の武器となる。彼が二列目からプレスをかけることで、相手のビルドアップを制限し、高い位置でのボール奪取を誘発する。
- 二列目からの飛び出し:OHの位置からスタートすることで、相手センターバックのマークを外しやすくなる。セレッソ大阪戦でのゴールも、バイタルエリア付近でこぼれ球にいち早く反応し、ミドルレンジから沈めたものであった。これは、磐田時代に培った「ディフェンダーとの距離感」が、一列低い位置でも有効に機能していることを示している。
若手タレントとの共存
広島は現在、中村草太や中島洋太朗(ちょっと怪我でまだ出れてないですが)、鈴木章斗といった将来有望な若手アタッカーを積極的に起用している。
ジャーメインがシャドーや複数のポジションをこなすことで、これらの若手選手がプレーするスペースが生まれ、チーム全体の攻撃のバリエーションが豊かになっている印象。ガウル監督が掲げる「結果と育成の両立」というビジョンにおいて、ジャーメインは自身の得点だけでなく、周囲を活かしながらチームを勝利に導く「大人のストライカー」としての役割を担い始めている。
ジャーメイン良の熱き思い:広島への忠誠と責任感
ジャーメイン良がピッチ上で見せる気迫の裏には、広島というクラブ、そしてサポーターに対する強い責任感がある。彼は単に「良い成績を残したい」と考えているのではなく、広島の歴史の一部になりたいという切実な願いを抱いているのではないか。
責任感と「全盛期」の定義
「責任感を強く持ってきました」と繰り返すジャーメインにとって、広島への移籍は退路を断った挑戦なのだ。
彼は自身の「全盛期」を、単にフィジカルがピークである状態ではなく、心・技・体が最も高い次元で融合し、チームをタイトルに導く準備ができている状態と定義しているので。磐田での3年間で成長させてもらったという感謝を胸に、その成長した姿を広島のリーグ優勝という形で見せることが、彼なりの恩返しであり、プロとしての矜持なのだ。
ジャーメイン良が広島にもたらすもの
サンフレッチェ広島におけるジャーメイン良の昨年を総括すると、彼は「期待されたほどの得点を取れていない」のではなく、「新しいクラブの新しい戦術体系の中で、極めて高い効率性を保ちながら、より多機能なストライカーへと進化している最中」であると結論づけることができるのではないでしょうか。
しかし2026年2月時点で公式戦3試合2得点という実績は、ストライカーとして素晴らしい滑り出しです。
バルトシュ・ガウル監督のモダンな指導の下、ジャーメインは単なる点取り屋を超え、広島の攻撃を司るダイナモへと変貌を遂げつつあります。
ジャーメイン良の活躍のその先には、サンフレッチェ広島が目指す「リーグ優勝」と「アジアの頂点」が待っていることでしょう。
2026年という歴史的なシーズンにおいて、ジャーメイン良の存在は、広島という街、そしてクラブが次なるステージへと駆け上がるための、最も力強い推進力なのです。
「優勝しましょう!」という彼のシンプルな誓いは、今まさにピッチの上で、彼のゴールと献身的な走りによって、現実のものになろうとしていのです。
ジャメ、次の京都サンガせんもたのむよ。遠慮せずにハットトリックね。
