疑惑のジャッジを批判していい。でも広島の課題は別の話だ——VARとリスペクトとサポーターの役割【J1百年構想リーグ ヴィッセル神戸vsサンフレッチェ広島 2026年3月27日】

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2026年3月27日、神戸戦は広島にとって3連敗となる苦い一夜になりました。最終スコアは1-2。しかし試合後のSNSを席巻したのは、スコアそのものよりも「2つの疑惑ジャッジ」への怒りと困惑でした。

トゥーレルの足踏みはなぜレッドにならなかったのか。大内一生へのPKはどう守れば防げたのか。VARは何のために存在するのか。サポーターの怒りはもっともです。だからこそ、今日はこの問題を冷静に整理したいと思います。

そして、審判批判と同じくらい大切なことについても、正直に書かせてください。広島の課題は、審判とは別の話だということを。


目次

何が起きたのか——2つの疑惑ジャッジを整理する

①52分 トゥーレルの足踏み——これはレッドではないのか

木下康介の先制ゴールから3分後、広島FW中村草太がサイドでボールを持ったところで事件は起きました。神戸DFマテウス・トゥーレルが背後から足を出し、ボールではなく中村の右足を踏みつけたのです。

中村は右足を押さえてピッチに倒れ込み、すぐには立ち上がれないほど痛がりました。それでも最終的には87分まで出場し続けましたが、あの場面でサポーターが感じた不安は相当なものでしたよね。

主審はファウルを取り、イエローカード(C2:ラフプレー)を提示しました。しかしVARの介入はなく、OFR(オン・フィールド・レビュー)も行われず、カードはイエローのまま。DAZN解説の播戸竜二さんが「足首捻ってるな。結構足裏で行ってる。これは危ない。VARが入る可能性もある」と指摘したにもかかわらず、判定は変わりませんでした。

SNSでは「普通にレッドだろ」「退場でいいよね」「大怪我してもおかしくない」という声が溢れました。これは感情論ではなく、サッカーのルールに基づいた正当な疑問だったと思います。後方から足裏でのコンタクトは、相手選手の安全を脅かすプレーとして厳しく判定されるべき案件です。

ここで一つ、勘違いされている方も多いので確認しておきたいのですが、主審がイエローカードを提示した場合でも、VARは「レッドカード相当ではないか」という観点で介入することができます。つまり「主審がイエローと判断した=VARが関与できない」ではないんですよね。実際、このシーンのような著しく不正なプレー(S1)に相当するかどうかは、VARが確認すべき事象に含まれます。VARがなぜこの場面を介入対象としなかったのか、説明が求められます。

②84分 大内一生へのPK——GKはどう守ればよかったのか

もう一方のジャッジは、さらに大きな波紋を呼びました。

84分、永戸の左クロスからジエゴが決定機を迎えます。GK大内一生は身体を大きく広げてシュートコースを切る、教科書通りの好守備。ジエゴのシュートは枠外に外れました。ところがシュート後、ジエゴの残り足が大内に当たる形で両者が交錯すると、主審がPKを判定したのです。

VARでも確認されましたが判定は覆らず、扇原貴宏がPKを冷静に決めて同点。その後90+4分に大迫勇也にゴールを決められ、広島は1-2で3連敗を喫しました。

DAZN解説の播戸竜二さんは「PKじゃないような気がする。ジエゴが先に蹴っている」と首をかしげました。元FC町田GKのポープ・ウィリアム選手(現ベールスホット)がXに「マジでどうなってんだよ。どうやって守るんだよ」と投稿し、約150万インプレッションを記録。GKの視点からの率直な叫びは、多くの人の共感を集めました。

ガウル監督も試合後に「正直、言葉がないです」「結果は内容にふさわしくない、非常に残念」とコメント。指揮官が言葉を失うほどの場面だったことは確かです。


審判を批判していい。でも誹謗中傷はダメだ

こうした不可解なジャッジに対して、サポーターが怒り、批判の声を上げることは正当な権利です。審判も、Jリーグも、VARの運用体制も、プロとして一定水準の能力と判断力を持って試合に臨むべき責任があります。それが不十分だと判断されるなら、改善を求める声を届けることはファン・サポーターとして当然の行動です。

そしてVARについても言いたいことがあります。VARはもともと、「人間の判断ミスをできるだけ減らす」ために導入された仕組みです。完全に正確であることを保証するシステムではありませんが、少なくともなぜその判断に至ったのかは、透明性を持って説明されるべきです。今回のPK判定も、トゥーレルのイエロー維持も、Jリーグは「なぜVARが介入しなかったのか」「なぜ判定が覆らなかったのか」の根拠を公開する義務があると思います。

ただし——ここが一番大切なことです——特定の審判個人への誹謗中傷や人格攻撃は、絶対にやってはいけません。

ジャッジへの批判と、人間への攻撃は別物です。「このジャッジはおかしい」「VARの基準を明確にすべきだ」という意見表明は健全な批判です。でも「お前は審判失格だ」「消えろ」といった個人攻撃は、サッカーをより良くするどころか、むしろ関わる人を傷つけ、スポーツ全体の信頼を損なう行為です。

ミスは誰にでもあります。審判も人間です。だからこそ、リスペクトを持った上で「このジャッジの根拠を示せ」と求める姿勢こそが、サポーターとして取るべき立場ではないでしょうか。

ファンやサポーターの皆さん、SNSで意見を発信するときは、言葉の選び方に気をつけてください。批判するときも、論評するときも、感情に任せた言葉ではなく、冷静で理性的な言葉を使ってほしいのです。リスペクトはとても大切です。

もし審判やJリーグの関係者に声を届けたいと思うなら、なおさらです。怒りに満ちた言葉より、筋の通った丁寧な言葉の方が、はるかに受け入れてもらいやすいですよね。批判が届くかどうかは、内容だけでなく、届け方にもかかっているんです。


でも、広島の課題は審判とは別の話だ

疑惑のジャッジが話題になるのは理解できます。それは本当に問題で、向き合うべきことです。でも、1995年からサンフレッチェ広島を取材し続けるベテランライター・中野和也さんの記事を読んで、私は改めて考えさせられました。サンフレッチェ広島オフィシャルマガジン「SIGMACLUB」の編集長として、クラブの番記者を長年務めてきた中野さんが、この試合についてこう書いています(記事はこちら)。

中野さんはPKシーンについて客観的な事実——「ジエゴの残り足が大内を踏んだのは事実」——を認めながらも、それ以上の審判批判には踏み込まず、こう書いています。「数少ない与決定機を失点に繋げてしまうのが現状。その勝負弱さが苦戦につながっている」と。

加藤陸次樹選手は試合後にこうコメントしました。「闘うところ、走るところは全員が前半から見せていた。これがサンフレッチェ広島だと思いました」。中野さんはプレー強度の復活やショートカウンターの切れ味が戻ってきたことも評価しています。広島は悪くなかった。でも「数少ないチャンスを確実にモノにする」という部分に課題があると。

これは審判批判とは全く別次元の話です。

「ジャッジが不公平だから負けた」という物語は、ある意味で楽です。怒りの矛先が外に向かい、自分たちの課題を直視しなくて済む。でもそれでは、チームは成長しません。サポーターも成長しません。

中野さんの言葉を借りれば、「ネガティブな要素を潰すことで、ポジティブな要素まで見失ってはいけない」のです。「様々な意味で示唆に富んだ3連敗。その示唆を活かして有意義なものにするか」——この視点こそ、サポーターにも求められていると思います。

審判批判をする。それと同時に、広島の課題もしっかり見る。この二つは「別物」として、どちらも手放さないことが大切なんですよね。


試合映像をもう一度確認したい方へ

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まとめ——私たちサポーターにできること

今回の神戸戦で起きたことを整理すると、こうなります。

  • サンフレッチェ広島 1-2 ヴィッセル神戸(3連敗)
  • 疑惑のジャッジ①:52分 トゥーレルの足踏みがイエローどまり——レッドでは?VARはなぜ動かなかったのか
  • 疑惑のジャッジ②:84分 大内一生へのPK——GKはどう守ればよかったのか。判定根拠の透明化を求める
  • 審判への批判はOK。ただし誹謗中傷・個人攻撃はNG
  • VARの判断理由は公開されるべき
  • 広島の課題(勝負弱さ)は、審判問題とは切り離して直視する

サポーターには二つの役割があると思っています。一つは、審判・ジャッジに対してリスペクトを持ちながらも監視し、問題があれば批判し、良い仕事には称賛を送ること。もう一つは、応援するクラブをどんな状況でも支え続けること。

どちらも欠けてはいけない。3連敗の今、なおさらそれが問われている気がします。

3連敗は確かに痛い。疑惑のジャッジへの怒りも消えない。でも加藤陸次樹が「これがサンフレッチェ広島だ」と言ったチームは、まだ戦い続けています。

審判に向き合い、クラブに向き合い、そして自分たちのサポーターとしての在り方にも向き合う。それが一番、サッカーを、サンフレッチェ広島を、長く楽しく愛し続けられる方法だと思います。その方が、僕らの人生も絶対楽しいですよね。

さあ、次の試合を待ちましょう。広島の逆襲は、ここから始まります。


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