なんか今年は楽しい。サンフレッチェ広島のゲームが見てて楽しいです。
いや、僕はスキッベ監督の頃から楽しかったです。ただ、去年はどういうわけか攻撃が手詰まりで、フラストレーションが溜まるゲームが多かったのも事実ですよね。
2024年は結構得点が入ったのになぁ。
で、今年のバルトシュ・ガウル監督はどうかというと、冒頭にも書いたように、なんか楽しいんですよね。
正直、守備は随分危ういなと思います。佐々木翔と荒木隼人の2枚鉄板がちょっとまだ参加できてないっていうのもあるんでしょうけれども、守備のやり方の整備があだできてないっていうのもあるんじゃないでしょうかね。

ガウル監督とRBグループ
バルトシュ・ガウル監督は、RBライプツィヒに2つの重要なポジションで在籍していました。
① ユースフットボールダイレクター(2024年2月〜)
2024年2月1日にRBライプツィヒの育成年代の責任者として採用されました。つまり、RBグループの「育成哲学」を組織の中核で担う立場にいたわけです。
② トップチームのアシスタントコーチ(2025年4月〜)
2025年4月にマルコ・ローゼの解任に伴い、トップチームのコーチに就任しました。ここでブンデスリーガのトップレベルの現場も経験しています。
こうした経歴から、ガウル監督の志向するサッカーにはRBグループの哲学が色濃く反映されていと推測されます。
具体的には、高い位置からの積極的なプレッシングや「ボールを奪ってから5秒以内の垂直パス」を重視するラングニック流のハイインテンシティなスタイル、そしてスカウティングや戦術分析におけるデータ駆動型のアプローチです。就任時に本人が語った「魅力的で、インテンシブで、クオリティの高いサッカー」というビジョンの中の「インテンシブ(高強度)」というキーワードは、まさにRB哲学そのものといった感じですよね。
なぜ広島はガウル監督を選んだのか
では、なぜ広島のフロントがこのRB流の指導者に白羽の矢を立てたのか。
その選定理由として「過去3、4年のサンフレッチェ広島のスタイルの分析データと同じような数値が出ているサッカーをしている指導者」として候補に挙がったことが明かされている点です。つまり、RBグループ的なハイプレス・ハイインテンシティのスタイルが、スキッベ時代の広島のサッカーとデータ上で親和性が高いと判断されたわけですね。
加えて、3バックと4バックの両システムを駆使できる点も評価されました。広島伝統の3バックを活かしつつ、RB流の攻撃的プレッシングを融合させる可能性がある——この点はサポーターとしても楽しみなポイントではないでしょうか。
そしてクラブからガウル監督に求められたのは「破壊」ではなく「継承」でした。スキッベ監督の4年間でハイプレッシャーを武器として敵陣でサッカーを続ける勇敢さがチームに根付いていたからです。「ハイプレッシャー・ハイライン」や「全ての局面を攻撃的に」という概念は、ガウル自身が持っているコンセプトにも合致しています。RBグループで培った哲学と広島のスタイルが元から親和性が高かった、というわけですね。
攻撃戦術の具体像
基本システム:3-4-2-1の継承と3-2-5への可変
ガウル監督はスキッベ時代の3-4-2-1をベースに継承しています。守備時は5バック化してコンパクトに守りつつ、攻撃に転じるとウイングバックが高い位置を取って実質3-2-5のような形を作ります。2シャドーが中間ポジション(ハーフスペース)で受けて数的優位を生み出すのが狙いです。
ここがRBグループのDNAが最も色濃く出る部分です。「ボール奪取から5秒以内の垂直パス」という原則が根底にあり、奪ったら即座に縦にボールを送ることを志向しています。ポゼッション自体を目的化せず、常にゴールへの最短ルートを意識するスタイルです。
ビルドアップの多様化
この基本形に加えて、ガウル体制ではビルドアップのルートが多様化している兆しがあります。スキッベ監督のラストイヤーとなった昨年はシンプルな攻撃が主のように感じましたが、今年からは中盤を経由する形や、列を飛ばしてFWに縦パスを入れる形など、相手の守備に応じて複数の前進方法を使い分ける意識が見えます。
また、CBの塩谷がサイドに開いて高い位置を取ることでSBのようになり、最終ラインが実質4バックのように変化するシーンも見られます。3バックと4バックの両方を状況に応じて使い分けられるのは、先述のとおりガウル監督の評価ポイントとして挙げられていた点であり、実際にそれが早くもピッチ上で表現されつつあるわけです。
シャドーの役割拡大
スキッベ時代から2シャドーは広島の攻撃の生命線でしたが、ガウル体制ではさらに活動範囲が広がっているようです。従来ならWBが使っていた大外のスペースにシャドーが入り込むパターンも試されており、WBでSBを引き出してその背後をシャドーが使う形も見られます。
開幕戦から見えたもの
2月6日の長崎戦では、中野、鈴木、川辺の得点で3-1の快勝を収めています。新加入の鈴木章斗がゴールを決めるなど、スキッベ時代に課題だった得点力の改善にも着手している様子が伺えます。
「共創型マネジメント」というもうひとつの特徴
戦術面に加えてもうひとつ注目したいのが、ガウル監督のマネジメントスタイルです。「俺の戦術を落とし込む」というトップダウン型ではなく、「チーム全員でやっていく」という共創型のアプローチを取っています。森保一監督タイプの「継承と積み上げ」型と分析されていました。RB流のインテンシティと原則を持ちながらも、選手の主体性を尊重するスタイルということですね。
まだシーズンは始まったばかりですが、RB流の「奪って速く」という縦への推進力と、広島伝統の3バック・シャドーシステムがどう融合していくか、今シーズン最大の楽しみではないでしょうか。
