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水本からのピンポイントパスを、ゴールに向かって走りながら軽くヒョイッとかかとに当てて、ボールを自分の頭を超させて、右足でダイレクトボレー。ゴールの右に突き刺さる。昨日(2013年12月22日)の天皇杯準決勝エディスタ対甲府戦。堅守を誇る甲府から、ゴラッソなゴールで佐藤寿人が先取点を上げた瞬間だ。
寿人選手のゴールは、いつも1点以上の輝きがある。驚きがある。
佐藤寿人のすべての得点は、記憶しようと思わなくても、強烈に印象づいている。サプライズ。
寿人選手の魅力は、芸術的な得点力。
でも、それだけではない。佐藤寿人の魅力は、もう一つ。佐藤寿人という人。佐藤寿人そのもの。
春日部出身。ジェフからセレッソ、ベガルタ。そしてサンフレッチェ広島へ。
広島とは縁もゆかりもない、といっていいでしょう。
でも、サンフレッチェ広島ファンなら、忘れられない寿人の叫び。J2に落ちた、エディスタ(当時ビッグアーチ)のあの京都戦で「J1に戻ろう!一緒にJ1に1年で戻ろう! みんなで……」
寿人はその頃も当然、日本代表候補だった。J2に行くことはその権利を自ら放棄することにも等しかった。寿人ほどの選手なら、どのチームにも移籍は可能だった。
日本代表か? サンフレッチェ広島か? 寿人は迷うことなく、サンフレッチェ広島を選んだ。
この瞬間から、佐藤寿人は広島から、心から愛される人になった。そして佐藤寿人も広島をさらに愛するようになった。
私は、この瞬間から、サンフレッチェ広島の、新たな歴史が始まったのだと思っている。
それまで、クラブはなかなか、広島の人から愛されるクラブにはなっていなかった。長年決まらない戦略。低迷する成績。広島にはカープというプロ野球のチームがあり、それも影響してか、サンフレッチェ広島は、広島の人たちからはそれほど関心を持たれていなかった。
しかし、皮肉にも、というか、幸せにもというか、再びサンフがJ2に落ちた瞬間、寿人の心からの叫びによって、サンフレッチェ広島は新たな道を歩き始めるのだ。
佐藤寿人とは、そういう人だ。
サッカーのプレイヤーとしては、世界トップクラスの実力と輝きを持つ。しかし、それだけではない。佐藤寿人その人が持つ類まれない輝きで、サンフレッチェ広島というクラブ自身を輝く存在に変えてくれた。あの日から、サンフレッチェ広島は、広島に愛されるクラブに、佐藤寿人とともに、一歩一歩、歩みを進めている。
佐藤寿人という、プレイも世界最高峰で、人としても最高。そういうプレイヤーが、広島でプレイすることを誇りに思ってくれている。こんなありがたいことはない。
佐藤寿人は、サッカーの神様が、広島に遣わせてくれた天使だと信じている。
広島の人は、佐藤寿人のことを、もっともっと愛して欲しい。寿人は、広島のことを最高に愛してくれている。
サントリーの缶コーヒーBOSSのCMで「愛されるという勝ち方」というコピーがあったが、
佐藤寿人は、正に、広島を愛し、愛されるということで、永遠に勝ち続けるのだ。
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