J1百年構想リーグ WESTグループ第9節
2026年4月5日(日)14:00キックオフ
エディオンピースウイング広島
サンフレッチェ広島 0-1 アビスパ福岡
得点:橋本悠(福岡・16分)
最下位の福岡に、ホームで負けた
言葉を選ぶのが難しい。
リーグ最多16失点、最下位のアビスパ福岡が相手だった。エディオンピースウイング広島には、ガウル監督の戦略がようやく花開く試合を期待したサポーターが集まっていた。3連敗の重さを振り払う、その一勝を。
結果は0-1。4連敗。
福岡のウイングバック橋本悠が決めた1点を、90分間崩すことができなかった。
ゴール期待値1.61 vs 1.21――数字は広島が勝っていた
この試合の主要スタッツを並べてみよう。
| 広島 | 福岡 | 勝敗 | |
|---|---|---|---|
| ゴール期待値(xG) | 1.61 | 1.21 | 広島 ◎ |
| シュート数 | 16 | 12 | 広島 ◎ |
| 枠内シュート(DAZN) | 6 | 8 | 福岡 ◎ |
| CK | 5 | 3 | 広島 ◎ |
| スコア | 0 | 1 | 福岡 ◎ |
数字は広島が勝っている。ゴール期待値もシュート数も、コーナーキックも。なのに、枠内シュートで負け、スコアでも負けた。
ここに今の広島のすべてが凝縮されている。シュート数はリーグ1位(1試合平均15.8本)。チャンスは作れている。ゴール期待値も相手を上回っている。なのに、点が入らない。
枠内シュート率、リーグ20位
今節直前のデータで、サンフレッチェ広島のゴール枠内率はリーグ20位だった。そして今日の試合でもそれが如実に表れた。シュート16本を放ちながら、スコアは0。DAZNのデータによれば、枠内シュートは広島6本に対して福岡8本。シュート数では福岡の12本を上回っているのに、枠内シュートでは負けている。打っている。しかし枠に飛ばない。飛んでも決まらない。
これはもう、戦術やフォーメーションの問題ではない。シュートそのもののクオリティの問題だ。
中継で解説の山岸智さんも指摘していたが、「いいところに選手が入っていける回数を増やしていけるか」がポイント。塩谷司が絡めばチャンスにつながる場面は確かにあった。川辺駿や中村草太とのコンビネーションも見えていた。しかし、その先——最後のシュートの精度が、チャンスをゴールに変えてくれない。
前半の入りは良かった、だからこそ悔しい
試合の入りは広島が良かった。ボールを支配し、後方からつなぐガウル監督の哲学を体現しようとしていた。解説も「前半かなりソリッドに守れている」「落ち着いてプレーの選択ができている」と評価していた。
しかし、一つのチャンスを決めきったのは福岡の方だった。
ウイングバック橋本悠の得点。「クロスに入っていくシーン、練習からやっている」と橋本自身が語ったように、チームとして約束事を全員が守り、それを結果につなげた。福岡の方が、限られたチャンスをゴールに変える力を持っていた。皮肉なことに、それこそ広島に足りないものだった。
アタッキングサードで奪われる問題
今日の試合で気になったのは、アタッキングサードでのボールロスト。せっかく後方からつないで相手陣内に入っても、最後の局面でボールを奪われてしまう場面が目立った。
パスの精度が落ちているのか。相手のプレッシャーに対して当たりが弱くなっているのか。おそらくその両方だろう。
また、福岡には広島の右サイドをやられた印象がある。橋本悠の得点もサイドからの攻撃で生まれたものであり、サイドの守備の課題が改めて浮き彫りになった。
ガウル監督「ゴールが足りなかった。ただそれだけ」
試合後、ガウル監督はこう語った。
「感情的になるのもわかるし、ファンの怒りもある。でも、自分たちはひどいプレーをしたとか、戦う気持ちがないとか、そういうことは一切ない。チームは一つになって戦った。勝利を決定づけるためのゴールが足りなかった。本当にただそれだけ」
「チーム全員で勝ち取れるために、また一つになって、さらに強いチームで次の週末に向けていきたい」
その言葉に嘘はないだろう。戦う姿勢がないわけではない。ガウル戦略が間違っているわけでもない。ただ、ゴールが入らない。
ブーイングについて
試合後、スタジアムからブーイングがあった。
気持ちはわかる。4連敗。最下位相手にホームで完封負け。怒りたくなるのは当然だ。
しかし、僕はブーイングには反対だ。
監督自身が言ったように、チームは一つになって戦っている。プレーの質に課題はあるが、姿勢に問題はない。ブーイングは選手を萎縮させ、ホームの雰囲気を壊す。エディオンピースウイング広島という素晴らしいスタジアムで、サポーターの力が選手を後押しする——そういう空間でありたい。
苦しい時に一緒に苦しみ、共に次に向かう。それがサポーターの力だと、僕は思う。
木下康介のゴール取り消し――あれは本当にオフサイドだったのか?
この試合、広島にはネットを揺らした場面があった。木下康介のゴールだ。しかし、VARの介入によりオフサイドと判定され、取り消された。
正直に言う。映像を見返したが、僕にはオンサイドにしか見えなかった。
もちろん、VARのラインテクノロジーは肉眼よりも正確だとされている。体の一部がわずかに出ていれば、それはオフサイドだ。ルール上は正しいのかもしれない。だが、あの判定が「体の一部が数センチ出ていた」レベルの話なのだとしたら、それがゴールを取り消すほどのものなのか。
もう一度、オフサイドのルールを確かめてみたいと思う。VARの精度や判定基準について、改めて検証してみたい。
いずれにせよ、あの瞬間、エディオンピースウイング広島に歓声が上がり、そして消えた。スコアが1-1になっていれば、試合の展開は大きく変わっていたはずだ。それだけに、あの判定は重い。
中島洋太朗の先発は収穫
暗い話ばかりではない。
ガウル監督が「非常に楽しみ」と語っていた中島洋太朗が、股関節痛からの復帰で先発出場を果たした。19歳のボランチは、新井直人の相手陣内でのパス40本というデータが示すように、チーム全体の攻撃意識は決して低くなかった。
中島の視野の広さと両足の精度は、ガウル戦略の「心臓部」になり得る。この先、彼がフィットしていけば、ビルドアップの質は確実に上がる。
シュートを決めるために、何が必要か
結局、問題はシンプルだ。
ゴール期待値1.61でも0点。枠内率リーグ20位。チャンスは作れている。あとは決めるだけ。「ただそれだけ」なのだが、その「それだけ」が一番難しい。
京都戦のレビューでも書いたが、シュートへの決断を早くすること。迷いを捨てて、枠に飛ばすこと。中嶋淑乃がレジーナの試合で見せたように、角度がなくても決然として足を振ること。
シュートの練習をしないといけない。もうそれに尽きる。
まとめ
4連敗は重い。だが、ガウル監督の戦略は破綻していない。チームの姿勢も崩れていない。ゴール期待値は相手を上回っており、チャンスの質は確保できている。
足りないのは、シュートの精度。フィニッシュのクオリティ。それだけだ。
だから、顔をあげよう。次の週末に向けて。闘いはまだ、続いている。
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