「すべてを捧げた」――ACL敗退の広島が、次なる舞台へ。川辺駿・木下康介・ガウル監督の言葉が示す再起への道【ACLエリート ラウンド16 2026年3月】

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3月11日(水)、エディオンピースウイング広島に集まった紫のサポーターたちは最後まで叫び続けました。しかし、90分のホイッスルとともに2025/26 AFCチャンピオンズリーグエリートへの挑戦は幕を閉じました。2試合合計2-3。第1戦のアウェーで喫した3失点という差を最後まで埋めることができず、サンフレッチェ広島はラウンド16での敗退が決まりました。

この敗戦を、選手たちはどう受け止めたのか。そして、広島はここからどこへ向かうのか。試合後の声とともに、チームの現在地と未来を考えたいと思います。


目次

2試合合計2-3――ピッチに刻まれた悔しさ

振り返れば、分岐点は3月4日のアウェー第1戦にありました。マレーシア・ジョホールのスタジアムで26分にキム・ジュソンが退場処分を受け、残り64分を10人で戦うことを余儀なくされた広島は、後半だけで3失点。1-3という重い結果を背負っての帰国となりました。

ホームで迎えた第2戦、広島は3点差以上の勝利が絶対条件でした。ガウル監督は佐々木翔を3バックに組み込み、前田直輝・トルガイ・アルスランら負傷者の穴を埋めながら最善の布陣でピッチに送り出しました。ジョホールは出場停止3選手(フィゲイレド・イラサバル・エクトル・ヘベル)が不在でしたが、それでも相手の組織的な守備ブロックは厚いものでした。

前半から広島は前がかりで攻め続けました。何度もゴール前に迫りながら、決定的な一打が奪えません。0-0で折り返した後半も攻勢は続きましたが、先制点は88分まで待つことになりました。MF中嶋洋太朗のシュートが相手の手に当たったとしてVAR判定によりPK獲得。それを木下康介が冷静に右足で沈めて1-0——しかし、時計は容赦なく止まりませんでした。

追加点を奪えないまま試合終了。スタジアムは静かな落胆と、それでも戦い抜いた選手たちへの温かい拍手に包まれました。


選手たちの声——悔しさの中に宿る誇りと決意

川辺駿「すべてを捧げるようにしていたが」

最も重い言葉を残したのはキャプテン格のMF川辺駿(30)でした。

「間違いなく2点を取らなければいけなかったので、チーム全体で前半開始のホイッスルから前がかりで行きました。自分も含めて前半からチャンスがあったので、そこで決めきらなければいけなかった」

後半に1点を返した場面についても、「もう少し早く取れていれば、もっと違う結果になった」と悔やみました。そして、こう続けました。

「応援してくれた皆さんに申し訳ない。本当に実力不足かなと思う。この半年は、チーム全体でACLEに懸けていた。すべてを捧げるようにしていたが、結果がついてこなかった。百年構想リーグでは、良い結果を得られるように。切り替えるのは難しいが、しっかり切り替えて次に向かいたい」

「すべてを捧げるようにしていた」——この言葉の重さが、チームのACLへの真剣な向き合い方を物語っていますよね。

木下康介「ファンサポーターへの感謝の気持ちだけ」

88分のPKを沈め、第2戦の唯一のゴールを決めたFW木下康介(31)は、それでも言葉少なでした。

「結果的に負けているので何も言うことはないですけど…。ここにたくさん駆けつけてくれたファンサポーターに最後まで後押ししてもらった感謝の気持ちだけです」

誰よりも勝利を引き寄せようとしたストライカーが、最後に語ったのはサポーターへの感謝でした。自分の得点よりも、チームの結果を悔いるその姿勢が、チームにフィットしつつある木下の成長を感じさせました。

大迫敬介「ポジティブに捉えて次へ」

守護神のGK大迫敬介(26)は、第2戦で無失点に抑えたことを前向きの糧にしようとしました。

「アウェーで3失点してしまうとゲームを難しくしてしまう。悔しいですけど、中2日なので早く切り替えて。課題はいっぱいありますけど、点は取れて無失点だったことをポジティブに捉えて次に生かしていきたい」

第1戦の傷を引きずらず、次の試合(3月14日G大阪戦)に向けて即座に顔を上げる。その言葉こそが、チームの芯の強さを示しています。

鈴木章斗「また成長できるように頑張りたい」

湘南から加入した新戦力FW鈴木章斗(22)にとって、今大会は初のアジアの舞台でした。チームのエースとして期待されながら、なかなかゴールを奪えなかった悔しさは大きいものがあります。

「成長した部分はないかなと思う。また成長できるように頑張りたい」

22歳の言葉は、厳しいほどに自分に向けられていました。この経験がアジアの強度を体で覚える糧となり、次のACLへつながっていくはずです。


ガウル監督が語る敗戦の真相

バルトシュ・ガウル監督(38)は、敗戦を真摯に認めながらも、選手たちを称えました。

「相手は時間稼ぎしてでも2点を守りたい思いが強く、難しい試合になった。早い時間にゴールが決まれば試合の展開も変わっていたが……。ただ、最後まで選手たちは粘り強くチャンスをたくさんつくってくれた。残念ながら次のラウンドに進めなかったところは認めないといけない」

指揮官は「勝つことが最良の答えになる」と常々語ってきました。その言葉どおり、今はただ結果を受け止め、前を向くしかありません。就任1年目のシーズンでアジアの16強に立ったこと——それは決して小さな事実ではありませんよね。


ACLが残したもの——国際経験という財産

今季の広島にとってACLEは、グループステージから計8試合という貴重な国際経験の場でした。アジアのクラブと渡り合い、キム・ジュソンという欧州基準の選手が退場という形で消えてしまった第1戦の悔しさ——それも含めて、チームはアジア特有の荒さ・駆け引き・強度を肌で学びました。

グループステージでは東地区3位でノックアウトステージに進出し、ACLEの日本勢の中でも確かな存在感を示しました。「第1戦のビハインドさえなければ」という思いは消えませんが、それもひとつの実力差だと受け止めることが成長の第一歩ではないでしょうか。


J1百年構想リーグで蘇れ——次の舞台はすぐそこに

ACLが終わった翌々日(3月14日)、広島にはすぐにJ1百年構想リーグ第6節・ガンバ大阪戦が待っています。中2日という過酷な日程の中で、チームはどれだけ切り替えられるでしょうか。

WESTグループでは現在、G大阪が首位を走っています。広島は上位に食い込んでいくために、この試合から連勝街道を切り開いていかなければなりません。ACLで疲弊した体と心を、サポーターの声で奮い立たせましょう。エディオンピースウイング広島での戦いは、今後も続きます。

川辺が言ったように「百年構想リーグでは良い結果を」——この言葉を、チーム全員で体現してほしいですね。


ACL再挑戦への道——頂点を取れば権利は戻る

広島が再びアジアの舞台に立つ道は、はっきりしています。J1百年構想リーグを制覇することです。

J1百年構想リーグの優勝クラブには、AFCチャンピオンズリーグエリート2026/27の日本代表枠として出場権が与えられます。つまり、今季のリーグ戦で頂点に立てば、1年でACLEに帰ってくることができるんです。

ACLで見えた課題——「先制点を早く奪う決定力」「アジアでの退場リスク管理」「複数戦を戦い抜く選手層」——これらをリーグ戦の中で磨き上げ、来季こそ8強、そしてその先へと進む力をつけていきましょう。

その第一歩が、中2日で迎える3月14日(土)のJ1百年構想リーグ第6節・ガンバ大阪戦です。WESTグループ首位を走るG大阪を相手に、ACLの悔しさをぶつける——その姿勢こそが、再びアジアへ戻るための出発点となります。


まとめ

悔しさを口にしながらも、誰も下を向いてはいませんでした。川辺は「切り替えるのは難しいが、次に向かいたい」と言い、大迫は「ポジティブに捉えて次へ」と顔を上げました。木下はサポーターへの感謝を、鈴木は自分への厳しい言葉を残しました。

「すべてを捧げた」半年間は、決して無駄ではありません。ACLEでの戦いが、このチームをひとまわり大きくしたはずです。

次の舞台は、J1百年構想リーグ。そしてその先に、またアジアの大舞台が待っています。紫の戦士たちよ——立ち上がれ。

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