松本泰志が広島に帰ってくる。普通だったらありえない。
多くの人がご存知だろうが、松本泰志はサンフレッチェ広島に入団し、中核の選手になったその翌年に、浦和レッズに移籍した。
浦和レッズはある意味広島のライバルというか、広島から憎まれているクラブで、まあ広島だけでなくいろんなところからライバル視されていて、浦和サポ以外のヒール役だったけど、近年は町田ゼルビアがそのヒール役を買って出ているので、浦和レッズの影も薄くなっているが、そんな経緯もあってサンフレッチェ広島のサポーターは松本泰志のことをまあ、仕方ない。生まれて育ったところに帰りたいのはなんとなくわかる。そんな感じだったんですよ。
松本泰志の帰還は極めて象徴的な事象。育成クラブへの回帰
その松本泰志がまた広島に帰ってくる。彼はトルガイ・アルスランと一緒にプレーすることで、ずいぶん成長したような気がする。そして、まだトルガイの契約は発表されていないが、ぜひトルガイには広島に残ってもらって、松本泰志との名コンビを再び見せてほしい。
ワシはこの松本泰志の帰還は極めて象徴的だと思う。
今年のサンフレッチェ広島の新監督バルトシュ ガウルさんの戦い方が、おそらく「原点回帰」を意味しているからだ。リセットというか。
元来サンフレッチェ広島のコンセプトは育成クラブである。
昨年はリーグ優勝を獲得するために、ミヒャエル・スキッベ監督の意向もあったと思うが、ピンポイントで――ピンポイントといっても複数人なのだが――補強して優勝を目指した。
ただ、やはり遺伝子というか文化というか、サンフレッチェ広島に脈々と流れている底流のようなものはすごく大事で、それをうまく組み合わせていかないと、最終的な成果が得られなかったのだと思う。
得点機会をリーグナンバーワンのレベルで作れたのに、その割に得点が最も低かったのは、こういうことじゃないかと思う。
より、得点力の高いクラブへ。スタイルではなく、ゴールからの逆算
ミヒャエル・スキッベ監督には感謝している。しかし、昨年はそのバランスが崩れてしまったこともあったのではないか。
まあ、素人が考えていることなのでよくわからないが(素人というのは私のことだ)、今年は原点に戻ろうとしているのがよくわかる。クラブの方針は間違っていないと思う。監督も育成に定評のあるバルトシュ ガウルさんをアサインした。
だから今年のサンフレッチェ広島が楽しみだ。もちろん、あらゆる機会で優勝を狙える戦いができればいいとは思うし、おそらくそういう戦いをしてくれるだろうとは思っているが、それに限らず、しっかりサンフレッチェらしい戦いをしてくれればいいなと思う。
サンフレッチェらしい戦いとは何か? これは私が勝手に言っているわけではないが、育成クラブとしてのアイデンティティ――これは戦い方ではなくスカッド編成の面でのことだが――そして戦い方はやはり、ゴールから逆算して展開していけるサッカーだと私は思っている。
3度のリーグ優勝を果たした原動力、あの頃の原動力となっていたのは間違いなく佐藤寿人で、あの時期はゴールから逆算してサッカーを展開していた。ポゼッションでもなければハイプレスでもない、逆算サッカーだったんですよね。
これは実に楽しみなことだ。今年のサンフレッチェ広島に期待したいと思う。
