秋春制に移行した新生Jリーグの「最初の夜」は、誰も予想しなかった乱打戦になりました。
2026年8月7日、J1開幕節の2試合。国立競技場(MUFGスタジアム)の横浜F・マリノス対鹿島アントラーズは3-4、パナソニックスタジアム吹田のガンバ大阪対浦和レッズは4-3。どちらも7ゴール、2試合合計14ゴールです。国立にはJリーグ史上最多の63,960人が詰めかけ、24年ぶりの地上波ゴールデンタイム全国生中継もありました。新時代の幕開けとして、これ以上ない一夜だったと思います。
僕も2試合とも観ました。今日はこの4クラブについて、良かったところと課題を、データと具体的な名前を挙げながら振り返ります。
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1. 鹿島アントラーズ──普通に強い。そして王者のメンタリティー
良かったところは、シンプルに言えば「負けている時間帯の振る舞い」です。3-1とリードされた展開でも、鹿島の選手たちに焦りは見えませんでした。
Jリーグ公式スタッツではシュート19対10、ボール支配率61%対39%。押し込み続けた土台の上で、鬼木達監督のベンチワークが効きました。後半22分に柴崎岳、同40分にチャヴリッチを投入。すると81分にレオ・セアラがこの日2点目を決めて1点差に迫り、後半アディショナルタイムにチャヴリッチがPKと、柴崎のスルーパスから抜け出しての2連発。85分に入った選手が2点取って逆転する──これはもう采配と選手層の勝利です。
観ていて「普通に強い」としか言いようがありませんでした。王者のメンタリティーとは、ビハインドでも自分たちのやることが変わらないことなんだと思います。
課題は守備です。百年構想リーグEASTを18試合失点9で制した堅守が、初戦でいきなり3失点。16歳の三井寺眞に先制点を許し、その後も左右のサイドを何度も割られました。優勝候補としては、この「初戦の脆さ」をどう総括するかが次節以降のポイントになります。
2. 横浜F・マリノス──躍動の予感と、最後に出た「経験の浅さ」
良かったところは、今季のマリノスは昨季までとは違うぞ、という予感を抱かせたことです。象徴は三井寺眞。
16歳4か月5日でのJ1開幕戦最年少先発という史上初の抜擢に、前半7分の先制点(森本貴幸に次ぐJ1史上2番目の年少ゴール)で応え、18分の谷村海那のゴールも、後半13分の谷村の3点目も起点になりました。3得点すべてに絡んだのです。
スティーブ・コリカ新監督が16歳を開幕スタメンで送り出す決断をし、その16歳が国立の6万人の前で結果を出す。近藤友喜のドリブル、天野純のラストパス、谷村の2ゴールと、攻撃の形も多彩でした。
課題は、3-1からの試合運びです。まるで経験の浅いチームのように、最後の最後で逆転されました。後半アディショナルタイム9分のPK献上から、わずか3分後の被逆転弾。体力も、精神力も、90分+αを走り切るところまでは持たなかった。
ボール支配率39%が示す通り、リード後は押し込まれ続ける展開で、耐える時間帯のゲームマネジメントはこれからのチームです。ただ、逆に言えば「あと10分を締める力」さえ身につけば、今季のマリノスは本当に面白い存在になると思います。
3. ガンバ大阪──白星は白星。でも、心配な白星
良かったところは、まず勝ったこと。開幕戦の白星は6シーズンぶりです。7月にイェンス・ヴィッシング前監督がサウジアラビアのアル・イテハドに引き抜かれるという緊急事態から、コーチの明神智和さんが監督に昇格して迎えた初陣で、結果を出したことは称えたい。
交代策も当たりました。後半14分に投入した植中朝日が86分の決勝点、同32分投入のウェルトンが84分の同点弾。イッサム・ジェバリと、前半アディショナルタイム7分に豪快に決めたデニス・ヒュメットの外国籍アタッカー陣も機能し、ゴール期待値2.63はこの試合両チーム最多でした。
課題は、正直に書くと、心配のほうが大きい内容だったことです。前半22分から数的優位。約70分を11人対10人で戦って、それでも78分・80分と連続失点して一時は逆転を許しました。人数が多いのに辛勝、というのが率直な感想です。
急ごしらえの体制でシーズンに間に合わせた事情は分かりますが、明神監督のチームとしての設計図はまだ見えてきません。この試合は勝ち切りましたが、同じ内容を続ければ、勝点は積み上がっていかないはずです。
4. 浦和レッズ──恐るべし、曺貴裁。もう「戦う集団」になっている
良かったところは、負けたのに一番強い印象を残したことです。曺貴裁新監督のもと、この夏15選手が退団する大改革で臨んだ初陣。19歳の笹修大(今治から加入)を先発に抜擢し、17分には笹→ダニーロ・ボザ→金子拓郎のクロスから小森飛絢が先制ヘッド。
マテウス・サヴィオの退場で10人になってからも運動量は落ちず、78分に金子、80分には途中出場の南野遥海が古巣相手の一撃で、数的不利のまま試合をひっくり返しました。ゴール期待値1.04で3得点、枠内シュート9本という決定力。就任からわずかな期間で、もうチームが「戦う集団」になっています。今のところ、恐るべし曺貴裁です。
課題は規律です。すべてを狂わせたのは、前半22分のサヴィオの2枚目のイエローカード。ボールと関係ないところで安部柊斗を突き飛ばすという、あまりに軽率な退場でした。
この試合の浦和は警告5枚(曺監督自身への警告を含む)に退場1。闘争心と無規律は紙一重で、そこのコントロールが今季の浦和のテーマになると思います。あと、84分・86分の連続失点で沈んだ終盤は、10人で走り続けた代償でもありました。
5. そして次節、浦和×広島です
ここまで読んでくださった方はお気づきだと思いますが、僕がこの2試合でいちばん背筋が伸びたのは、浦和の仕上がりです。なぜなら次節・第2節(8月15日)、サンフレッチェ広島はアウェイでその浦和と対戦するからです。10人でもひっくり返しに来るチームに、広島はどう勝っていくのか。曺貴裁監督との初対戦は、浦和にとっても広島にとっても、序盤戦の行方を占う重要なゲームになります。
なお、昨日公開した順位予想との答え合わせを一言だけ。初日は予想3位の鹿島と7位のG大阪が白星、11位の浦和と13位の横浜FMが黒星。並びとしてはモデルの見立て通りのスタートですが、内容はご覧の通り一筋縄ではいきません。毎節の突き合わせはtoto記事のほうで続けていきます。
→ 【26-27シーズン】J1全20チーム順位予想
6. まとめ
秋春制最初の夜は、14ゴール、史上最多観衆、16歳の衝撃、10人の逆襲と、詰め込みすぎなくらいの開幕でした。そして今夜19時15分、エディオンピースウイング広島で、いよいよ僕たちの開幕戦・千葉戦です。この熱量の続きを、Eピースで。
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出典・参考
- Jリーグ公式サイト「横浜FM vs 鹿島 試合結果・データ」「G大阪 vs 浦和 試合結果・データ」(2026年8月7日)
- ゲキサカ「横浜FM16歳FW三井寺眞が衝撃初弾デビューも…猛反撃の王者鹿島が後半ATに大逆転!!」「G大阪vs浦和 試合記録」(2026年8月7日)
- FOOTBALL ZONE「衝撃の2戦14ゴール、Jリーグが波乱の幕開け」「G大阪が浦和に大逆転勝利」(2026年8月8日)
- サッカーキング「G大阪が合計7発の乱打戦を制す!」(2026年8月7日)
- サカノワ「【G大阪vs浦和】明神智和監督の初陣」(2026年8月7日)
- DAZN News「衝撃の開幕戦!」(2026年8月8日)
