広島の勝てる時と勝てない時の差はどこにあるのか?——4試合のxGと決定力で読み解く

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2勝2分、無敗の4位。数字は何を言っているか

2026/27シーズンのJ1が開幕して4試合。サンフレッチェ広島は千葉に3-0、浦和に4-1で勝ち、川崎Fと1-1、G大阪と0-0で引き分けました。2勝2分の勝ち点8、4位。8得点2失点。負けてはいない、でも勝ち切れてもいない——そんなスタートです。

水曜にはホームで名古屋戦があります。その前に、僕はこの4試合を「勝てる時と勝てない時の差はどこにあるのか」という一つの問いで整理しておきたいと思いました。使うのはFootball LABのデータ、なかでもゴール期待値(xG)です。

先に結論を言います。バルトシュ・ガウル監督のもとで、広島はチャンスを作れています。J1で一番作っています。勝てる時と勝てない時の差は、作ったチャンスを決めたかどうか——最後の一本にありました。

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前提:広島はJ1で一番チャンスを作っている

まず、4試合を通したチーム全体の位置を確認します。第4節終了時点のFootball LABの数字です(シュート数・期待値は1試合平均、率は4試合合計からの算出)。

指標広島J1順位
シュート数19.0本1位
チャンス構築率16.5%1位
ゴール期待値(xG)2.2322位
被ゴール期待値0.7301位
シュート成功率10.5%11位

シュート数とチャンス構築率(攻撃回数のうちシュートまで至った割合)はJ1で1位。作ったシュートの質を積み上げたゴール期待値は鹿島(2.337)に次ぐ2位。そして相手に与えたチャンスの質を示す被ゴール期待値は0.730で、これはJ1で最も低い数字です。

ゴール期待値と被ゴール期待値の両方でトップ2に入っているクラブは、広島だけです。xG差(自分の期待値から相手の期待値を引いたもの)は+1.50で、J1トップ。「一番作って、一番作らせていない」。内容だけ見れば、4位というのはむしろ控えめな順位です。

ではなぜ勝ち点が伸びないのか。表の一番下を見てください。シュート成功率10.5%、J1で11位。J1 20チームのちょうど真ん中あたりです。ただし、この10.5%は4試合の平均であって、試合ごとに見ると様子がまったく違います。

勝った2試合:作って、決めた

相手結果xG得点得点−xGシュート成功率
1千葉(H)3-02.6893+0.3120本15.0%
2浦和(A)4-13.3744+0.6325本16.0%

開幕の千葉戦はxG 2.689で3得点。浦和戦はxG 3.374で4得点。2試合合計でxG 6.06に対して7得点です。

注目してほしいのは、xGそのものが高いことです。今季J1のチーム平均xGが1試合約1.4ですから、3.37という数字はその2倍以上です。浦和戦は25本のシュートを打ち、ペナルティエリアに22回進入しました。千葉戦も20本。作る量が圧倒的で、なおかつシュート成功率が15〜16%と高かった。作って、決めた。これが勝てる時の広島です。

得点がxGを上回った分(合計+0.94)は「決定力の上振れ」です。ここは正直に書いておきます。15〜16%の成功率がずっと続くわけではありません。でもそれは、勝てなかった2試合の裏返しでもあります。

勝てない時の顔①:作ったのに、入らない(川崎F戦)

相手結果xG得点得点−xGシュート成功率保持率
3川崎F(H)1-11.6871−0.6917本5.9%54.0%

川崎F戦のxGは1.687。川崎F側は1.304ですから、内容では広島が上回っていました。シュート17本、枠内7本。ボール保持率54.0%は4試合で最も高く、30mライン進入は60回で、これも4試合で最多です。相手陣内に入り、押し込み、シュートまで持っていった。

なのに、入ったのは加藤陸次樹の1本だけ。シュート成功率5.9%。xGから見れば0.69点分を取りこぼした計算になります。

これは「作れなかった」試合ではありません。「作ったのに入らなかった」試合です。崩しの問題ではなく、最後の一本の問題。勝てない時の一つ目の顔です。

勝てない時の顔②:作る質が落ちて、その上入らない(G大阪戦)

相手結果xG得点得点−xGシュート成功率構築率
4G大阪(A)0-01.1770−1.1814本0.0%12.8%

G大阪戦は少し様子が違います。xGは1.177。シーズン平均2.232のほぼ半分で、4試合で最も低い数字です。チャンス構築率12.8%も4試合で最低(シーズン平均16.5%)。

ただし、崩せていなかったわけではありません。ペナルティエリア進入は18回で、これはシーズン平均の17.8回と同じ水準。クロスは25本でむしろ平均より多い。つまりエリアには入れていた。入れていたのに、そこから「いいシュート」に至る回数が減った。崩しの最終局面で質が落ちた、というのがこの試合です。

それでも1.18点分のチャンスは作っていました。G大阪のxGは0.701ですから、内容で上回っていたのは変わりません。しかし14本のシュートで枠内は4本、得点はゼロ。G大阪の岸本が退場になったのは後半42分ですから、試合のほとんどは11人対11人。数的優位で押し込んだわけでもない。作る質が落ちて、その上に決められなかった。二重に噛み合わなかったのが、勝てない時の二つ目の顔です。

共通項は「最後の一本」——引き分け2試合で1.9点分

二つの引き分けは、見た目は同じ勝ち点1でも中身が違います。川崎F戦は純粋に決定力の下振れ。G大阪戦は崩しの質の低下と決定力の下振れが重なった複合型。

でも、共通項があります。どちらの試合も、xGは相手を上回っていた。そして、どちらの試合も、xGより得点が少なかった。勝てる時と勝てない時の差は、崩しの量でも保持率でもなく、最後の一本にあります。

引き分けた2試合の「得点−xG」を足すと、−0.69と−1.18で合計−1.86。約1.9点分です。広島の得点だけが期待値どおり(川崎F戦2点、G大阪戦1点)で、実際の失点がそのまま(1点と0点)だったとすれば、川崎F戦は2-1、G大阪戦は1-0。どちらも勝っていた計算になります。勝ち点にすれば+4で、合計12。首位の柏、2位の鹿島と並ぶ数字です。

もちろん、これは「たられば」です。でも、4試合の内容が同じでも結果がこれだけ動く、ということは覚えておいていいと思います。

4試合は短い。だからこそ、期待できる

ここで冷静になりたいのは、4試合というサンプルの小ささです。

4試合合計のxGは8.93。実際の得点は8。差は−0.93です。勝った2試合で+0.94上振れて、引き分けた2試合で−1.86下振れた。合計でおよそ1点分、期待値を下回っている。シュート成功率で言えば、勝った日が15〜16%、引き分けた日が5.9%と0%。平均すれば10.5%で、J1の真ん中です。

シュート成功率というのは、シーズンを通して見ると平均に寄っていく数字です。4試合で15%が続くことも、0%が続くこともまずない。上振れも下振れも、いずれ均されます。

そのとき効いてくるのが「作る量」です。広島はJ1で一番シュートを打ち、一番チャンスを作っています。成功率がJ1の真ん中の水準に落ち着くだけで、J1で一番多く打っているチームは、J1で最も点を取るチームの一つになるはずです。上振れは要らない。普通に決めれば、点は増える。

対照的なのが町田です。町田のxGは1.757でJ1 5位。それに対して得点は1試合平均3.25で、期待値を+1.49も上回っています。シュート成功率21.3%はJ1トップ。ゴール期待値の考え方でいえば、あの成功率がシーズンを通して続くことはまずありません。首位の柏もxGは1.542でJ1 10位です。

内容で勝っているチームと、結果で勝っているチーム。どちらがシーズンの後半に強いか。僕は前者だと思っています。

だから今の広島に必要なのは、何かを変えることではなく、この内容を続けることです。J1で一番作って、J1で一番作らせない。それを続けていれば、勝ち点は自然についてきます。水曜の名古屋戦、僕はそういう目で見るつもりです。

次回予告:スキッベ時代と比べて、チャンスの作り方はどう変わったのか

「作れている」と書きましたが、では作り方はどう変わったのか。スキッベ監督の4年間と比べて、ガウル監督の広島はどこからシュートに至っているのか。攻撃の形の変化は、分量が大きくなるので別の記事に分けます。近日公開予定です。

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参考・出典

※データはすべてFootball LAB 2026年8月30日更新時点(J1第4節終了時点)の数値です。Football LABのゴール期待値・シュート成功率の集計ではオウンゴールを除いています。

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