松本泰志選手は、無事か?……勝っても後味の悪い夜、松葉杖の記憶——福岡0-1広島 Jリーグ第8節

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2026年9月19日(土)、ベスト電器スタジアム。明治安田J1第8節、アビスパ福岡対サンフレッチェ広島は、後半23分の東俊希のゴールで広島が0-1と競り勝った。これで2連勝。順位争いを考えれば、アウェイでの勝点3は文句のつけようがない。

それなのに、である。試合が終わって最初に頭に浮かぶのは、東のゴールでも、シュート29対1という圧倒的なスタッツでもない。担架に乗せられてピッチを去った松本泰志の姿と、その後、松葉杖をついてベンチにいたという報道である。

勝っても、こんなに後味の悪い夜がある。

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目次

前半22分、何が起きたか

スコアレスの前半22分ごろ、ピッチ中央でルーズボールに反応した松本泰志に、福岡の主将DF上島拓巳がスライディングタックルを仕掛けた。体が空中に浮くほどの勢いで、接触したのは松本の膝。ゲキサカは「松本に全く配慮しないファウルであり、上島が松本に謝る様子も全くなかったため広島側は激昂していた」と、記者の筆致としては異例なほど踏み込んだ書き方をしている。

高崎航地主審が最初に提示したのはイエローカードだった。しかしVARが介入し、オンフィールドレビューの末に判定は変更。イエローは取り消され、一発レッドとなった。今季リーグ戦初先発でキャプテンマークを巻いていた上島は、開始25分を待たずにピッチを去った。

松本は治療を受けて一度はプレーを続けた。しかし数分後、再びピッチに座り込む。30分、担架で運ばれての負傷交代。代わって菅大輝が入った。中国新聞は試合後、松本が右膝を痛め、ベンチで松葉杖をついていたと報じている。ガウル監督も試合後、松本のけがをチームにとっての「ダメージ」と語った(中国新聞)。診断結果はまだ発表されていない。続報を待つしかないが、あの光景を見た広島サポーターの胸中は穏やかではないはずだ。

数字が物語る、異常な前半

この試合の前半がどれほど荒れていたか。数字を並べるだけで伝わる。

  • レッドカード2枚(いずれも福岡)、イエローカード5枚
  • VARの介入・チェックは計5回
  • 前半アディショナルタイムの表示は12分、実際には13分超。前半が終わったのは開始から58分過ぎ

前半11分には福岡の山脇樺織のスライディングが鈴木章斗のふくらはぎに入り、退場の可能性でVARチェックが入った末にイエロー。その直後には逆に鈴木章斗がプレスバックの際に見木友哉のアキレス腱付近を踏んでしまい、こちらもオンフィールドレビューの末にイエローが提示された。荒れたのは一方通行ではなかった——それはフェアに書いておく。

だが、選手を松葉杖にしたタックルは、一件だけだ。

そして前半45+6分、上島から腕章を引き継いでいた見木友哉がこの日2枚目の警告で退場。福岡は前半のうちに9人になった。前半終了後には福岡の塚原真也監督が審判団に詰め寄る場面もあったという。

3年前、満田誠がそうだったように

この光景に、既視感を覚えた広島サポーターは多いはずだ。

2023年5月7日、J1第12節の広島対福岡戦。前半11分、ピッチ中央でパスを受けようとした満田誠に、福岡のDF小田逸稀が背後からスライディングを仕掛けた。両足で満田の右足を挟み込む形になり、満田は前半21分に交代。右膝前十字靭帯部分損傷で、長期離脱を余儀なくされた。

このときの判定はイエローカード。VARの検証すら行われなかった。「なぜレッドではないのか」という声がSNS上に噴出したのを、私はよく覚えている。小田は2日後、インスタグラムのストーリー機能——24時間で消える場所——で謝罪した。「100%私の判断ミス」という言葉とともに。

もうひとつ、忘れがたい記憶がある。その満田負傷の前年、2022年9月のルヴァンカップ準決勝第1戦(ベスト電器スタジアム、福岡2-3広島)の後、当時福岡を率いていた長谷部茂利監督が、広島のプレースタイルについて「ファウルをもらうプレーが多い」「あまりいいプレーじゃない」という趣旨の批判を口にしたとスポーツ報知が報じている。相手のプレーの質を云々していたクラブが、その翌年5月に危険なタックルで相手のエースを壊した。この時系列を、私は今も忘れられずにいる。

偶然にしては、できすぎた巡り合わせ

そして今週。9月17日、現在は大分に所属する小田逸稀が、RB大宮の加藤聖を負傷(手術)させたことが報じられ、SNSでは3年前の満田へのタックル映像が再び拡散されていた。その騒動のわずか2日後に、今度は上島と松本泰志である。

私は「福岡というクラブにそういう文化がある」と断定するつもりはない。クラブには真摯な選手も、フェアなプレーヤーも大勢いる。あの2023年当時とは監督も代わり、選手の顔ぶれも大きく変わった。ただ、事実として、このカードでは同じ質の事故が繰り返されている。2023年はイエロー止まりでVARも動かなかった。2026年はVARが介入し、レッドに変更された。判定の仕組みは進歩した。それでも、松葉杖をつく選手が出ることは防げなかった。

強度と危険は、別のものだ

球際の強さ、デュエルの激しさ。それ自体はサッカーの魅力であり、福岡の伝統的な武器でもある。私はそれを否定しない。広島だって激しく行くチームだ。

だが、体を空中に浮かせて相手の膝に突っ込むプレーは「強度」ではない。相手のキャリアを危険に晒す行為と、球際で戦うことの間には、はっきりとした線がある。その線を越えたからこそ、VARは主審の判定をひっくり返したのだ。

最後にひとつだけ。この記事は上島拓巳のあのプレーへの批判であって、彼個人への攻撃を呼びかけるものではない。2023年の小田の件では、本人のSNSに誹謗中傷が殺到する事態になった。批判は正当に、中傷はしない。それが、松葉杖の記憶を無駄にしないための、サポーターとしての最低限の矜持だと思う。

松本泰志の怪我が軽く済むことを、心から祈っている。東俊希の決勝点と勝点3を、次の試合では晴れやかな気持ちで喜べますように。

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参考・出典

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