ATの悪夢を4-0で取り返した——加藤陸次樹の11番が躍動し、大迫敬介はW杯へクリーンシートを持っていく【京都サンガ0-4サンフレッチェ広島|J1百年構想リーグ第17節レビュー|2026年5月17日】

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試合情報

大会明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド WESTグループ 第17節
日時2026年5月17日(日)15:00キックオフ
会場サンガスタジアム by KYOCERA(京都府亀岡市)
結果京都サンガF.C. 0-4 サンフレッチェ広島
得点中村草太(29分)、鈴木章斗(49分)、加藤陸次樹(51分)、松本泰志(75分)
観客数16,040人

この試合のハイライトはDAZNで見られます。
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目次

2ヶ月半前の悪夢を、きっちり返しました

覚えていますか。第4節、2月27日。エディオンピースウイング広島。

1-0でリードしたまま終盤に入り、「勝った」と思ったあの試合で、81分にエリアスに同点弾を許し、90+3分にエンリケ・トレヴィザンに逆転弾を食らいました。ATの2失点。広島サポーターにとっては忘れられない悪夢でした。

あの日から2ヶ月半。僕たちのチームは4-0という、これ以上ないスコアで京都に勝ちました。

しかもこの試合、ただの大勝じゃありません。前半29分の中村草太の先制点で落ち着いてゲームを進め、後半開始直後にたったの2分間で2点を追加して試合を決めました。75分には交代出場の松本泰志がダメ押し。完勝です。

2連勝。WEST4位。プレーオフに向けて、チームは最高の状態に仕上がっています。


試合展開

前半——広島の時間、中村草太の先制

試合の入りから、広島が主導権を握りました。

3バックの佐々木翔、塩谷司、山崎大地が安定したビルドアップを見せ、両ウイングバックの東俊希と中野就斗が高い位置を取ります。川辺駿がアンカーとしてバランスを取りながら、前線の鈴木章斗、中村草太、加藤陸次樹がポジションを入れ替えながら京都のディフェンスラインを揺さぶりました。

そして29分。中村草太が見事なゴールを決めて先制します。

京都は36分に松田天馬が負傷交代。本田風智が投入されますが、前半のうちに交代枠を使わざるを得なかったのは痛手でした。

前半終盤になると京都も少しずつリズムを取り戻し、左サイドからチャンスを作り始めます。中野瑠馬のシュートシーンもありましたが、大迫敬介がしっかりキャッチ。解説の長谷川さんが「後半につながるサッカーはできている」と評した通り、京都にとっては希望のある終わり方でした。

ただ、その希望は後半開始わずか2分で砕かれます。

後半——怒涛の2分間と、完璧な試合運び

49分、鈴木章斗が追加点

そしてわずか2分後の51分、加藤陸次樹がゴール

後半開始からたった6分で3-0。試合は完全に決まりました。

64分に広島は加藤陸次樹とジャーメイン良を、新井直人と松本泰志をそれぞれ入れ替え。余裕を持った交代です。

そして75分、その松本泰志がダメ押しの4点目を決めます。途中出場で結果を出す——ベンチの選手にも自信がある証拠です。

その後も広島は中村草太に代えて前田直輝、鈴木章斗に代えて木下康介、最後は川辺駿に代えて小林志紋と、次々と選手を入れ替えながら危なげなく試合をクローズ。

最終スコア 0-4。大迫敬介はクリーンシートです。


スタッツ比較

京都広島
シュート318
CK110
ファウル167

シュート数18対3。この数字がすべてを物語っています。広島が一方的に攻め続けた試合でした。京都のファウル16回という数字も、広島の攻撃を止めるために身体を張り続けた京都の苦しさを示しています。


加藤陸次樹の帰還——このチームに欠かせない男

今日の試合を語るうえで、加藤陸次樹の存在は外せません。

DAZN中継で解説を務めた京都の関係者が「昨シーズン対戦して一番嫌だった選手」として加藤の名を挙げていました。その理由が具体的で、なるほどと思いました。

「守備のところでも気が利くし、攻撃でも嫌なところに立ってくる。立ち位置がやらしいし、勝負強い」

まさにそうなんです。加藤陸次樹は「上手い」とか「速い」とか、わかりやすい武器で勝負する選手じゃない。でも、こういう選手がピッチにいるかいないかで、チームの強度がまったく変わります。

広島ユースからトップに上がれず、大学時代にキャンプ参加してもオファーがなく、金沢、セレッソを経て広島に戻ってきた。その経験が、プレーの端々に出ています。今シーズンからはレジェンドナンバー11番を背負っています。

実際、加藤が先発に戻ってから、広島は明らかに調子を上げています。連敗で苦しんだ時期を経て、加藤の復帰とともにチームが蘇った。今日の51分のゴールは、その象徴のような1点でした。


大迫敬介——W杯へ持っていくクリーンシート

大迫敬介にとって、この試合は特別な意味を持っていました。

5月15日にW杯メンバーが発表され、大迫は26人の中に選ばれています。つまりこの京都戦は、W杯前最後のJリーグの試合でした。

解説の瀬川さんが言っていた言葉が印象的です。

「W杯に選ばれた後の試合だったので、大迫もそれなりに緊張感はあったと思います。怪我はしたくないし、代表としてのパフォーマンスを見せなきゃいけない。その葛藤があった」

その緊張感の中で、4-0のクリーンシート。仲間の助けもありましたが、前半終盤の中野瑠馬のシュートをしっかりキャッチするなど、やるべきことをきっちりやりました。

試合後、大迫は広島サポーターのもとへ深々と挨拶に行っています。広島の、そしてJリーグの代表として。いい形でW杯に向かえます。


ユン・ソンジュン——19歳が見せた走りの質

もうひとり触れなければいけない選手がいます。京都のユン・ソンジュンです。

19歳、高卒1年目。この試合で走行距離チームトップ、スプリント回数21回で両チーム通じてトップでした。しかも6連戦すべてに出場している中でのこの数字です。

結果は0-4の完敗でしたが、この若い選手の将来性には目を見張るものがあります。来年、再来年にはさらに怖い存在になっているでしょう。


エリアスの背中——敵ながら天晴れ

最後にもうひとつ。0-4で負けている終盤、あるシーンがありました。

広島のGKへのバックパスに対して、エリアスが全力でスプリントをかけてプレッシャーに行ったんです。

0-4ですよ。他の選手なら、もう流してもおかしくない場面です。でもエリアスは走った。

そして試合後、深々とお辞儀をして広島サポーターに挨拶していました。

解説の瀬川さんが言いました。「気持ちを持った選手じゃないとああいうプレーにならない。こういう選手は大事にしなきゃいけない」と。

僕は広島サポーターですが、こういう選手にはリスペクトしかありません。2024年途中に京都に加入して残留の救世主になり、2025年は優勝争いの立役者。エリアスは京都にとって本当に大きな存在です。


曺貴裁監督、最後のホームゲーム

この試合には、もうひとつ大きな文脈がありました。

5月15日、京都サンガは曺貴裁監督が今季限りで退任することを発表しています。浦和レッズからのオファーを受けての決断だと報じられています。

曺監督は2021年から京都を指揮し、J1昇格、残留、そして昨季はクラブ史上最高の3位。ACLエリート出場権も獲得しました。京都サンガの歴史を変えた監督です。

この京都戦は、曺監督にとってホームでの地域ラウンド最終戦でした。京都は5連敗でWEST最下位に転落。監督退任、最下位転落、0-4の完敗——苦しいシーズンの終わりが近づいています。

敵チームの監督とはいえ、曺貴裁という人が日本サッカーに残したものは大きいです。次の場所での活躍を祈ります。


WEST順位表(第17節終了時点)

順位チーム勝点試合得失点差
1ヴィッセル神戸3217+5
2名古屋グランパス3117+5
3セレッソ大阪2817+6
4サンフレッチェ広島2717+6
5ファジアーノ岡山26170
6ガンバ大阪2517+3
7清水エスパルス2417-1
8V・ファーレン長崎2117-7
9アビスパ福岡2117-9
10京都サンガF.C.2017-8

広島はWEST4位。3位セレッソとはわずか1ポイント差。5位岡山も1ポイント差で追ってきています。プレーオフに向けて、この2連勝の勢いは何より大きな武器です。


まとめ——強くなっている最中だから面白い

前節のG大阪戦レビューで僕はこう書きました。

「広島は『強い』のではなく、『強くなっている最中』です」と。

今日の4-0を見て、その思いをさらに強くしました。完成品じゃない。だからこそ伸びしろがある。だからこそ面白い。

加藤陸次樹が復帰してチームに厚みが戻り、中村草太が得点力を発揮し、ユン・ソンジュンのような相手の若手に刺激を受けながら、大迫敬介がW杯に挑む。

残る地域ラウンドは終了し、いよいよプレーオフです。この勢いのまま、突き抜けてほしい。

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