2026年5月4日
何が起きたか
5月2日、中国ダービー。JFE晴れの国スタジアムで、ファジアーノ岡山がサンフレッチェ広島を1-0で下しました。
後半20分頃、ペナルティエリア内で岡山の河野孝汰選手が広島の中野就斗選手の足を踏む形で倒した場面がありました。VARでOFR(オンフィールドレビュー)が行われましたが、判定はノーファウル。PKは認められませんでした。
あの判定がどうだったかについては、今回は書きません。
問題はその後です。
翌5月3日、ファジアーノ岡山の公式Instagramに、河野選手が試合中の「足踏み」を再現するポーズを取り、宮本英治選手がそれを笑顔で指さしている写真が投稿されました。
これが大炎上しました。
広島サポーターだけでなく、岡山サポーターからも「本当に終わってる」「公式アカウントがやることじゃない」と批判が殺到。ファジアーノ岡山は同日中に投稿を削除し、公式サイトで謝罪文を発表しています。
さらに5月4日、ファジアーノ岡山の森井悠代表取締役社長がサンフレッチェ広島を直接訪問し、詳細な経緯説明と謝罪、再発防止策の報告を行いました。岡山はこの問題を「クラブ理念の根幹を揺るがしかねない非常に大きな事象」と位置づけ、投稿管理体制の厳格化を表明しています。
サンフレッチェ広島もこの謝罪を受け入れ、両クラブ間に遺恨がないことを公式に表明しました。
以て他山の石とせよ
このニュースを見たとき、僕が最初に思ったことは「ファジアーノ岡山ひどいな」ではありませんでした。
「以て他山の石とせよ」。
こういうことは、サンフレッチェ広島では絶対にあってはならない。それが一番最初に浮かんだ思いです。
広島の選手や中の人たちは、間違ってもこんなことはしないと思います。でも、他のクラブで起きたことを「ひどいね」と批判したりするのではなく、自分たちの姿勢を改めて確認する機会にする。それが大切ではないか、サンフレッチェ広島のサポーターのとるべき行為だと思います。もちろん強制はしません。私がそう思っているだけです。

ディスったら、何が残りますか
その上で、ここからが大事だと思っています。
サンフレッチェ広島のサポーターは、ファジアーノ岡山の選手やサポーターやスタッフに敵対しないこと。
僕はそう思います。
確かに、ディスられてもおかしくないことをしたのは岡山の選手と岡山のスタッフです。あの写真を撮って、公式がアップした。それは間違いだったと思います。
でも、ディスる必要はないんです。というか、ディスっちゃダメなんです。
ましてや、サンフレッチェ広島のサポーターがこれで立場が優位になったと思って、岡山のサポーターや選手やスタッフをディスるなんて、ありえません。それでは同じ穴のムジナです。
何の発展性もありません。こんなことで敵対しても、何の良いこともない。むしろつまらないアングルが生まれるだけです。
人間は愚かなものだから
僕自身を含めて、人間は愚かなものです。煩悩の塊です。
ちょっと気に食わないことを言われれば怒り、自分が優位に立てると思ったら相手のマウントを取る。元来、人間は戦闘的な生き物です。
今回のインスタグラムの投稿がどういう意図だったのか、正確にはわかりません。
ただ推測するに、おそらくこういうことだったのではないでしょうか。サンフレッチェ広島のサポーターが「あのプレーはPKだろう」と声を上げた。それに対して岡山側は「勝ったのはこっちだろ、負け犬の遠吠えだ」と。その空気の中で、あの写真が撮られ、アップされた。
人間の弱さが出た瞬間だったと思います。
リスペクトを込めて──もう批判はしない
僕らがここでやるべきことは何か。
それは、リスペクトを込めて、もう批判はしないことだと思います。
両クラブのトップが会って話をし、遺恨がないことを確認した。サンフレッチェ広島の久保雅義社長も、サポーターに対して「特定の選手、クラブ、関係者に対する過度な批判や誹謗中傷、リスペクトを欠いた発信は絶対におやめいただくよう」と要請しています。
僕はこの要請に全面的に賛同します。
サッカーは平和だからこそできるスポーツです。こんなことでディスり合うよりも、ファジアーノ岡山さんのためになること、利益になることをしっかり伝えた方がいい。
Jリーグはパイの奪い合いではありません。お互いのクラブがさらに魅力的になることで、経済的にも、推し文化としても発展していく。持続可能な形で成長していく。それがJリーグのあるべき姿だと思います。
せっかく隣同士の県です。お互いにいい意味での切磋琢磨を続けて、それぞれが魅力的なクラブになって、中国ダービーのたびにエキサイティングな試合を見せてもらえればいいじゃないですか。
魅力的なクラブであるために
ここにはもう一つ、重要な観点があります。
サンフレッチェ広島は、魅力的なクラブでなければならない。
なぜか。
「魅力的」にもいろいろな定義がありますが、僕が特に大事だと思っているのは、選手がこのクラブで戦いたいと思ってくれることです。
選手を引き止める。優秀な選手に来てもらう。それにはサポーターの存在がものすごく大きいんです。「この街の、このサポーターの前でプレーしたい」と思ってもらえるかどうか。それはクラブの将来を左右するくらい、大きな要素です。
そう考えると、相手をディスっている場合ではないんです。
確かにファジアーノ岡山の選手とスタッフはひどいことをしました。でも、そこを責めるよりは、これをきっかけにお互いのクラブがいい関係になることの方が、ずっといい。
その方が選手は嬉しいなあと思うはずです。
つまり、このことでサンフレッチェ広島がさらに強くなっていき、さらに魅力的になっていくんです。相手をディスっていたのでは、自分たちも魅力的にはなりません。
ポープ・ウィリアムさんへ
ファジアーノ岡山OBのポープ・ウィリアムさん(現ベルギー2部・ベールスホット)が、Xで「選手のちょっとした悪ふざけを公式に謝罪するなんて馬鹿げている」と発言されました。
引くに引けなくなったのかもしれません。
でも、ポープ・ウィリアムさんに問いたいのです。スポーツマンシップを大切にされているポープさんは、今回のファジアーノ岡山の投稿が本当に問題ないと思われるのでしょうか。
僕は、ポープさんはそんな方ではないと思っています。
町田のパワハラ問題の時、ポープさんはセンシティブな問題を上手に取り上げて、「パワハラがあってはならない」と論じておられました。あの時のポープさんの姿勢には、多くの人が共感しました。
今回のことも、もう一度見てもらいたい。そして、しっかりと論じてもらいたいと思います。
Jリーグのクラブは、敵ではなく仲間です
いずれにせよ、Jリーグのすべてのクラブは敵ではなく仲間です。
お互いが切磋琢磨して、Jリーグというものを魅力的にしていく。人々に喜びや生きる希望を与える。それがミッションです。
そこから外れるようなことは、当該クラブだけでなく、すべてのクラブとサポーターがやってはならないことだと思います。
大切なのは、スポーツマンシップ、そしてリスペクト、そして哲学です。
僕らサポーターも、それを忘れてはいけないと思います。
これは押し付けるつもりはありません。あくまで僕の考えです。でも、それはサンフレッチェ広島の哲学に近いのではないかとも思っています。
そして、僭越ながら、今西さんのお考えに近いのではないかとも思っています。
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