前半のデュエルで完敗、後半の猛攻も実らず——途中出場レオ・ガウショの一撃に沈んだ中国ダービー【ファジアーノ岡山1-0サンフレッチェ広島|第14節レビュー|2026年5月2日】

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J1百年構想リーグ WESTグループ 第14節
2026年5月2日(土)12:55キックオフ
JFE晴れの国スタジアム(岡山)|入場者数:14,255人
天候:晴・弱風|気温:26.2℃|湿度:36%
主審:谷本涼

ファジアーノ岡山 1-0 サンフレッチェ広島

時間スコア得点者
後半38分(83分)1-0レオ・ガウショ(岡山)※ヘディング

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目次

前半と後半で、まるで別の試合でした。

前半——岡山に圧倒されました。

シュート10対4。ゴール期待値(xG)1.31対0.63。ボール奪取の82%が自陣ディフェンシブサードという数字が示すように、広島は岡山の激しいプレスの前に、まったく前でボールを奪えませんでした。

後半——広島が修正して押し返しました。

シュート2対6(後半のみ)。前半終了時に岡山1.31対広島0.63だったxGは、試合終了時には岡山1.66対広島1.33まで差が縮まりました。VARでPKが認められなかった場面もありました。

しかし、ゴールは生まれなかった。

そして83分。岡山の途中出場組が完璧に崩して、レオ・ガウショがヘディングで仕留めました。

福岡戦のPK負けに続き、2試合連続で勝てず。中国ダービー第4章は、岡山の勝利で幕を閉じました。


前半——「格闘技」に飲まれた広島

岡山の圧力に、なすすべなく

ガウル監督は試合後、「最初の1秒から格闘技のような激しい試合だった」と振り返っています。

その言葉通りでした。岡山は立ち上がりからロングボール、セカンドボール、そしてフィジカルの競り合いで広島を圧倒します。ボール奪取位置のデータが、前半の構図をはっきりと示しています。

前半のボール奪取位置比較

エリア岡山広島
AT(アタッキングサード)10%0%
MT(ミドルサード)61%18%
DT(ディフェンシブサード)29%82%
奪取回数3128
平均奪取位置44.6m20.6m

広島のボール奪取の82%がディフェンシブサード。アタッキングサードでの奪取は0%です。つまり、前半の広島は相手陣地で一度もボールを奪えていない。岡山のミドルサード61%と比較すれば、どちらがピッチの高い位置で主導権を握っていたかは一目瞭然です。

DAZN解説の森﨑浩司さんも「入り、岡山非常に良かった。迫力ある攻撃を何度も仕掛けて、奪ってから速く攻撃を仕掛けていくところが非常に出た前半だった」と評しました。

前半の主なシーン

18分:セットプレーから山根永遠のクロスに大森博がドンピシャのタイミングで合わせますが、頭ではなく肩に当たりゴールならず。ここは岡山、決めたかった場面です。

23分:広島にもチャンスが。松本泰志がシャペウで相手をかわし、柔らかいクロスを中野就斗が合わせます。松本のアイデアとテクニックが光ったシーンでした。

38分:岡山のカウンター。ルカオがスイッチを入れ、山根から松本昌也へ渡りフィニッシュまで持ち込みます。奪ってから二枚で手数をかけずにゴールに迫る——岡山の狙いがそのまま出た場面です。

44分:広島も反撃。鈴木章斗のクロスにマイナスで中野が右足を振りますが、決まらず。

前半のスタッツ

岡山広島
シュート104
枠内シュート53
xG1.310.63
ボール支配率50%50%
パス(成功率)189(74%)198(77%)
CK40
ファウル73

支配率は五分五分。パス成功率は広島がやや上。それなのにシュート10対4、xG 1.31対0.63と、岡山が完全に攻勢でした。広島はボールを持てても、シュートまで持っていけない前半でした。

森﨑さんは「広島も時間の経過とともに徐々にボールは握れるようになったが、相手の圧力やプレッシャーでミスが多く出た。なかなか攻撃のリズムを作らせてもらえなかった」とまとめています。


ハーフタイム——ガウル監督は声を荒らげた

ガウル監督は試合後、ハーフタイムのロッカールームでの出来事を明かしています。

「ハーフタイムのロッカールームでは声を荒らげた。球際で戦えなければ当然、勝ち点をこぼす」

守備で戦い、それから自分たちのサッカーを実行するという準備をしていたにもかかわらず、前半はそれを体現できなかった。ガウル監督の怒りは、前半の内容に対する明確なメッセージでした。

広島は後半開始から2枚替え。東俊希に代えて新井直人、鈴木章斗に代えて木下康介を投入しました。岡山も2枚替えで、ルカオに代えてレオ・ガウショ、木村太哉に代えて西川潤を送り込みます。


後半——修正した広島、しかしゴールは遠く

後半は別のチームだった

ガウル監督の叱責は効きました。後半の広島は、前半とはまるで別のチームです。

シュート・xGの前半→全体の変化

前半試合全体
広島シュート410
広島xG0.631.33
岡山シュート1012
岡山xG1.311.66

前半シュート4本だった広島が、後半は6本を放ち合計10本。岡山は後半わずか2本に激減し合計12本。xGも、前半終了時には岡山1.31対広島0.63と大きく差がありましたが、試合終了時には岡山1.66対広島1.33まで縮まっています。後半に広島がxGを大きく積み上げたことがわかります。ただし、岡山もxGを伸ばしており、決して押されっぱなしではありませんでした。

65分:VARでPK認められず

後半20分(65分)、中野就斗がペナルティエリア右でこぼれ球に反応した際、岡山の河野孝汰と接触して倒れます。VARが介入し、主審がオンフィールドレビューを実施しましたが、PKの判定にはなりませんでした。

ガウル監督は試合後、「VARで確認されたプレーがPKの判定にならなかったのは非常に残念。言い訳にはしないが、過去の試合でもPKやゴールになり得た場面があり、それが現在の勝点に直接影響している」と強い不満を表明しています。

60分〜:矢継ぎ早の交代

ガウル監督はさらに手を打ちます。

  • 60分:トルガイ・アルスラン → 中村草太
  • 63分:荒木隼人 → 佐々木翔
  • 86分:山﨑大地 → 加藤陸次樹

最終的にスタメンから5人を入れ替え、攻撃のギアを上げにいきます。しかし、ゴール前でのラストピースが最後まで噛み合いませんでした。


83分——途中出場組が絡んだ決勝点

そして83分。この試合唯一のゴールが生まれます。

起点は、後半から投入された西川潤。左サイドでタメを作り、追い越していった山根永遠にペナルティエリア左へスルーパスを通します。山根はポケットの深い位置から右足アウトサイドでクロス。ゴール前で待ち構えていたレオ・ガウショが、ヘディングで叩き込みました。

西川→山根→レオ・ガウショ。西川とレオ・ガウショは途中出場です。

木山隆之監督の采配が、見事にハマりました。レオ・ガウショにとってはJリーグ初ゴール。試合後、「家族が試合を見に来たのは初めてだったので、家族の前で日本での初ゴールを決めることができて本当に嬉しかった」と語っています。

完全に崩されたゴールでした。広島としては、防ぎようのない、美しい攻撃。だからこそ悔しい。


スタッツ比較(試合全体)

項目岡山広島
シュート1210
枠内シュート54
xG(ゴール期待値)1.661.33
ボール支配率46%54%
パス(成功率)302(72%)456(75%)
オフサイド32
CK54
ファウル179
警告 / 退場3/01/0

※枠内シュートはJリーグ公式、xG・ボール奪取位置・ファウルはDAZN、支配率・パスはスポーツナビ

ボール奪取位置比較(試合全体)

エリア岡山広島
AT(アタッキングサード)5%4%
MT(ミドルサード)44%23%
DT(ディフェンシブサード)51%73%
奪取回数5947
平均奪取位置36.9m25.4m

分析——なぜ広島は勝てなかったのか

1. 前半のデュエルで完敗——準備はしていたのに

ガウル監督は試合前日、「守備で戦い、それから自分たちのサッカーを実行する準備をした」と語っていました。岡山のフィジカルの強さは理解していた。

にもかかわらず、前半はそれを体現できませんでした。

ガウル監督自身が「試合後に言い訳するのは受け入れられない」と語っているように、想定していた相手の強みに対して、想定通りに対応できなかったことが問題です。

そして注目すべきは次の言葉です。

「後半に改善を見せたということは、最初からできたはずだということ。なぜキックオフからできなかったのか再分析しなければならない」

この自己批判は、チームの成長にとって重要な視点だと思います。後半にできたことが、前半にできなかった。そこに何があったのか。この問いの答えが、次節以降の広島を変えるカギになるはずです。

2. 後半の修正力は確かにあった

数字が証明しています。前半シュート4本・xG 0.63だった広島が、試合終了時にはシュート10本・xG 1.33。後半だけで6本のシュートを放ち、岡山を後半2本に抑え込みました。

ガウル監督がハーフタイムに声を荒らげ、選手たちがそれに応えた。この「修正力」は、チームとしての成熟を示す証拠です。

問題は、修正できたのにゴールが入らなかったこと。プレビュー記事で指摘した「xG1位なのに決定率19位」という矛盾が、この試合でも顔を出しています。

3. 木山監督の采配が勝負を分けた

後半から投入されたレオ・ガウショ、西川潤。この二人が決勝点に直接関与しました。

木山監督は試合後、「今日出番を得た選手がしっかりとしたプレーを見せてくれた」「前半は狙い通りの攻守を展開して全体的に良い時間を過ごせた。後半は広島が攻撃の形や立ち位置を変えてきた中で少し押し込まれる時間もあったが、粘り強く戦うことができた」と語っています。

前半はスターターで圧力をかけ、後半は途中出場組でフレッシュな攻撃を仕掛ける。岡山のゲームプランは、最初から最後まで一貫していました。

4. 広島のボール奪取位置が示す構造的な課題

試合全体を通して、広島のボール奪取の73%がディフェンシブサード。平均奪取位置は25.4mで、岡山の36.9mと11m以上の差があります。

前節の福岡戦でもディフェンシブサードでの奪取が58%でしたが、今回はさらに悪化して73%。広島が相手の陣地でボールを奪えない——つまりハイプレスが機能していないという傾向は、2試合続けて出ています。

ただし前半82%→後半は改善しているので、後半のアプローチを最初から出せるかが次節の課題です。


ガウル監督コメント(試合後)

「最初の1秒から格闘技のような激しい試合だった。ロングボール、セカンドボール、フィジカルの争いの中で、最初はそのデュエルで競り負けた。後半は闘志を見せ多くのチャンスを作ったが決められず、相手の1回のチャンスで失点した。勝てる試合だっただけに悔しい」

「VARで確認されたプレーがPKの判定にならなかったのは非常に残念。言い訳にはしないが、過去の試合でもPKやゴールになり得た場面があり、それが現在の勝点に直接影響している」

「ハーフタイムのロッカールームでは声を荒らげた。球際で戦えなければ当然、勝ち点をこぼす。後半に改善を見せたということは、最初からできたはずだということ。なぜキックオフからできなかったのか再分析しなければならない」

(山﨑大地の起用について)「過密日程と高インテンシティの試合を考慮して先発させた。卓越したポテンシャルを持つ選手で、Jリーグでの出場経験を積むに値する」


木山隆之監督コメント(試合後)

「今日出番を得た選手がしっかりとしたプレーを見せてくれた。前半は狙い通りの攻守を展開して全体的に良い時間を過ごせた。後半は広島が攻撃の形や立ち位置を変えてきた中で少し押し込まれる時間もあったが、粘り強く戦うことができた。全員が身体を張って守り切ることもできた。次に繋がる非常にいいゲームになったんじゃないかなと思う」


スタメン・交代

サンフレッチェ広島(3-4-2-1)

スタメン

ポジション背番号選手名
GK1大迫敬介
CB33塩谷司
CB4荒木隼人
CB3山﨑大地
RWB15中野就斗
DMF6川辺駿
DMF14松本泰志
LWB24東俊希
シャドー41前田直輝
シャドー30トルガイ・アルスラン
CF10鈴木章斗

交代

時間OUTIN
46分東俊希新井直人
46分鈴木章斗木下康介
60分トルガイ・アルスラン中村草太
63分荒木隼人佐々木翔
86分山﨑大地加藤陸次樹

ファジアーノ岡山(3-4-2-1)

スタメン

ポジション背番号選手名
GK52濵田太郎
CB6大森博
CB48立田悠悟
CB43鈴木喜丈
RWB88山根永遠
DMF7竹内涼
DMF41宮本英治
LWB28松本昌也
FW27木村太哉
FW40河野孝汰
CF99ルカオ

交代

時間OUTIN
46分ルカオレオ・ガウショ
46分木村太哉西川潤
60分松本昌也本山遥
73分竹内涼江坂任
73分河野孝汰一美和成

カード

時間選手チーム種類
28分木村太哉岡山イエロー
58分新井直人広島イエロー
75分一美和成岡山イエロー
90+1分レオ・ガウショ岡山イエロー

WEST順位表(第14節終了時点)

順位クラブ勝点試合PK勝PK負得点失点得失差
1ヴィッセル神戸261371322215+7
2ガンバ大阪251545332318+5
3名古屋グランパス221352332116+5
4サンフレッチェ広島201452161918+1
5清水エスパルス201442441615+1
6ファジアーノ岡山201442441620-4

※PK勝ち=勝ち点2、PK負け=勝ち点1

広島と岡山は勝ち点20で並びましたが、得失点差で広島が4位を維持。首位・神戸との差は6ポイント。


まとめ——次は首位・神戸戦。立ち上がるしかない

前半の45分間は、今季ワーストクラスの内容でした。デュエルで勝てず、前でボールを奪えず、岡山の勢いに完全に飲まれた。

でも、後半の45分間は違いました。ガウル監督がハーフタイムに喝を入れ、選手たちが応えた。後半だけでシュート6本、岡山をわずか2本に抑え込んだ。xGも前半0.63から試合終了時1.33まで大きく積み上げた。修正する力は、このチームにはあります。

問題は「なぜ最初からできなかったのか」。ガウル監督自身が突きつけたこの問いが、次節に向けた最大のテーマです。

次節は5月6日、エディオンピースウイング広島でWEST首位・ヴィッセル神戸を迎えます。

中国ダービーの悔しさを、ホームの力に変えてほしい。僕はそう願っています。

DAZN解説の森﨑浩司さんが、この中国ダービーについてこう語っていたのが印象的でした。

「もっともっと中国ダービーの歴史が積み重なると、もっと本当にダービーだなっていう雰囲気につながっていくんじゃないかなと思いました」

悔しい結果でしたが、14,255人が集まったJFE晴れの国スタジアムの熱気は本物でした。この中国ダービーが10年、100年と文化と歴史を紡いでいくこと。それ自体が、両クラブにとって素晴らしいことだと思います。

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